
美味しいホッケを食べるための基礎知識をご紹介
北海道の魚といえば鮭、カレイ、タラ、カレイなど色々思いつきますが、その中でも密かに高い人気を誇っているのがホッケ。北海道の市場に行けば必ずと言っていいほど売っておりますが、そのホッケの特性から北海道以外ではなかなかお目にかかれません。
今回はそんなホッケの魅力と美味しく食べる方法をご紹介します。
ホッケとは?
ホッケの生態についてサラッとまとめました。
- 大きさ
最大で60cmに達する。 - 釣期
年中釣れますが4、5月と9~12月が最盛期。 - 分布
北海道全沿岸とえ青森県から山口県までの日本海沿岸、青森県から熊野灘までの太平洋沿岸に分布。 - 生息地
水深100m前後の大陸棚上に棲むが、産卵期には20m以浅の岩礁域に移動する。
ホッケの種類
ホッケは大まかに2種類に分かれます。
ホッケはアイナメ科の魚で、マホッケと体に縞模様があるシマホッケに分かれます。
味の特徴としては、マホッケは脂はそこまでなく、ほくほくとしていて淡白な味わい。一方、シマホッケは身がプリプリ、ジューシーとしていて、脂のりの良い魚が好きな人は絶対好きになります!
シマホッケ(学名:キタノホッケ)
水深500メートルまでの大陸棚に棲んでいます。産卵期は初夏から秋。マホッケより寒冷な水域に生息しており、体に浮かぶ5〜6本の暗色の縞模様が特徴。
マホッケ(学名:ホッケ)
成魚は沖合の推進100〜150メートルほどのところに生息。秋から冬に沿岸に近づき、岩礁のさけ目や石の間などに卵を産み付ける。背の部分に茶色い褐色のまだら模様が特徴。
ホッケは本来、群れで行動する回遊魚ですが、この「マホッケ」のなかで、回遊せずに餌の豊富な岩礁などに棲みつく魚がいます。そこで成魚となり大きくなったホッケを「ネボッケ」と呼びます。根が生えたように岩礁などに定着するので「根ボッケ」です。(可愛い名前ですね笑)
餌が豊富な場所で成長するので大きく太り、脂がよくのっています。
旬と産地で味が違う
ホッケは日本のいくつかのエリアとロシアからの輸入品があるので、地域によって旬が違います。
ホッケは、茨城県より北の海と日本海で穫れます。主な水揚地は、北海道、石川県、秋田県、青森県、新潟県。あとは、ロシアからの輸入が大半。
農林水産省「海面漁業生産統計調査」によると、国内で水揚げされるホッケの99%が北海道産。つまり、国産のホッケ=北海道産と考えてOKです!
そんな北海道産の中でも、“三大ホッケ”と呼ばれる3つ(あるいは4つ)の有名な産地があります。三大産地は、羅臼、礼文、積丹(日高)の3つ(日高を含めて4つという場合もある)です。
ホッケは、北海道の沿岸で5月~7月と11月に多く漁獲されます。
話が少し変わりますが、魚が多く取れる時期=旬と勘違いされる方もいますが、旬は魚が最も美味しい時期と考える場合もあります。
食べる側としては興味があるのは脂がのって一番美味しい時期ですよね。
そういった考えで調べてくいくと、“三大ホッケ”の旬は以下のようになりました。
- 積丹は、4〜5月頃(春)
- 礼文島は、7〜8月頃(夏)
- 羅臼は、10〜11月頃(秋)
- 日高は、11~12月頃(冬)
偶然にも産地ごとに旬の季節が異なっていますよね。ただ、産地を絞らず北海道のホッケの旬と言うことであれば、春と秋が美味しいという意見が多いです。いずれも産卵する前の脂がのったところが、一番美味しいという話でした。
北海道のホッケが美味しい
北海道産ホッケは脂が乗っていて最高です。開いて干してあることが多く、焼いて大根おろしと醤油で食べるのが絶品。
ホッケには大きく分けると「真ホッケ」、そして単にホッケと呼ぶ「シマホッケ」があります。道内ではともに漁獲されますが、真ホッケのほうが質も味も上です。柔らかい身でジューシー、脂ののりも良く絶品。道内でホッケといえばこの真ホッケが一般的です。北海道では焼くほかにも、煮たり、ホッケフライなどで食べられています。
知床の羅臼産が美味しい理由
ホッケの中でも、特に美味しいとされるが、羅臼産のホッケ。
羅臼の「厳寒な気候」と「前浜の深い海」は魚介類にとって、最適な環境を生み出しています。また、流氷が運んでくるプランクトンにより、魚たちのエサになり、豊富な栄養分を蓄え成長します。
これが、羅臼産の魚が肉厚で最高に脂が乗って美味しいと言われる理由です。
魚の鮮度を保つ為に船上から氷を大量に使用し、徹底した鮮度管理をしていることも美味しさの秘訣だと言われております。
ホッケは栄養豊富
ホッケは必須アミノ酸が豊富な動物性たんぱく質や、赤血球の産生を助けるビタミンB12、健康な骨を保つカルシウムやビタミンDなどの栄養素を含んでいます。
妊娠中に注意が必要な魚ではなく、赤ちゃんにとって大切な栄養素を多く含んでいるので、妊婦の方にもおすすめの食材です!
たんぱく質
ホッケ100gあたりには、17.3gのたんぱく質が含まれています。
たんぱく質は血液や筋肉を構成する主要な成分であるほか、体のエネルギー源になる栄養素です。
ホッケに含まれる動物性たんぱく質は、体内で作ることができない必須アミノ酸を豊富に含んでいます。
カルシウム
ホッケ100gあたりには、22mgのカルシウムが含まれています。
カルシウムは歯や骨を作る材料になるほか、筋肉の収縮に関わったり、神経の興奮を抑制する効果があります。
魚類は、肉類より比較的カルシウムが多く含まれていますが、その中でもホッケは鶏むね肉の約5倍、豚ばら肉の約7倍のカルシウムを含んでる優れものです。
ビタミンB12
ホッケ100gあたりには、10.7μgのビタミンB12が含まれています。
ビタミンB12は赤血球の産生を助けるはたらきがあります。疲労や貧血など体力低下に直接影響のある巨赤芽球性貧血の予防にも効果的です!
ホッケと同じ魚類である、さけのビタミンB12は100gあたり5.9μg、たいは1.2μgです。ほかの魚と比べても、ホッケはビタミンB12を豊富に含んでいます。
ナイアシン
ホッケ100gあたりには、2.5mgのナイアシンが含まれています。
ナイアシンは、ビタミンB群の一種でエネルギー産生やアルコールの代謝を助ける他に、皮膚や粘膜の健康を維持する作用もあります。
ナイアシンは水に溶けやすい性質があるので、焼き魚にするとナイアシンを無駄なく摂取できるのでオススメです。
ビタミンD
ホッケ100gあたりには、3.0μgのビタミンDが含まれています。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促して骨の成長を促進するはたらきの他にも血液中のカルシウム濃度を調節するので、健康な骨を維持するために必要な栄養素です。
ビタミンDは脂溶性で、油と一緒にとると吸収率が高くなります。ホッケに含まれるビタミンDを効率よくとるには、油を使う料理にしましょう。
まずはホッケの干物を楽しもう
北海道やその他産地以外の方はホッケを楽しみたいのであれば、干物がオススメです。
干物は非常に足が速い魚なので、生のホッケを見ることはまずないかと思います。
「干物は鮮魚より美味しくないのでは…」と考える方もいるかと思いますがそんなことはありません。実は干物にすることで旨味成分がぐんと増すのです。
魚は干物にするとなぜ美味しくなるのか
干物が美味しくなる理由には、塩漬けにすることが影響しております。魚を干物にする場合には塩や塩水に漬ける"下処理"を行います。"下処理"を行うことによって水分が抜け、魚肉本来の旨味が凝縮されるのです。
塩漬けにして時間が経つことにより、魚の筋肉細胞内にある「塩溶性タンパク質」が溶解し、再び結びつくために、前の状態よりも弾力のある触感が生まれてくるのです。
さらに、タンパク質の分解酵素による働きがアミノ酸を増やします。アミノ酸が増えることで、旨味成分であるイノシン酸との相乗効果が強くなるために美味しい風味を引き立てます。魚を干すことによっても美味しくなるのです。魚を干すことによって魚の表面に膜がつくられます。この膜が多くの旨味成分を閉じ込めます。
これらの理由により干物は美味しくなるんです。
ホッケの上手な焼き方
ホッケの干物を焼くにはいくつかコツがあります。
冷凍した干物は無理に解凍しなくていい
冷凍した干物は解凍する必要ありません。解凍してから調理する方も多数いますが、冷凍干物は解凍せずに焼くことをオススメします。
理由としては解凍するときに旨味を逃さないためと、凍っている水分に身をふっくらとさせる働きがあるためです。解凍してから焼くと旨味が減って、身がパサパサになってしまうこともあるので、冷凍した干物はそのまま焼くのがベスト。
ホッケの干物は身の面から焼く
魚を焼く時に「皮の面から先に焼くのか、身の面から先に焼くのか」と言う問題がありますよね。色々考え方があるのでどちらが正解という事はありませんが、干物を焼く場合、私は身の部分から焼くことをオススメします!
魚を焼くときの基本は「盛り付けたときに上になる面から焼く」ことなのだそう。なのでホッケの干物などは身から焼くということですね。
理由としては最初に焼く面にきれいな焼き色がつくから。干物は盛りつけた時に身の面が上になることが多いので綺麗な焼き色をつけるために身から焼くのです。(なのでこれが切り身であれば皮の面から焼きます!)
もっと美味しく焼きたい方はこちら↓
https://asaichi-akarenga.com/blogs/news_column/grilled-dried-fish
焼き方について詳しく知りたい方はこちら↓
https://asaichi-akarenga.com/blogs/news_column/howto-grill-fish
生のホッケはなかなかお目にかかれない
先ほども書いたようにホッケは非常に足が早く、産地以外では鮮魚でホッケをお目にかかれることはまずありません。
他にもアニサキスの問題もあります。
ホッケの内臓には、アニサキスなどの寄生虫がすんでいることがあり死後1時間ほどで、内臓から身のほうに移動してしまうんです。
アニサキスを死滅させるためには、48時間以上冷凍する必要があります。
ホッケは水分が多いため、解凍したときに水分と一緒に旨味も消えてしまうといいます。
そうすると食感も味も落ちてしまうため、市場ではホッケの刺身を提供していないということです。
幻のホッケの刺身を食べたい人はこちら
そんなホッケも刺身で食べられるよう加工している商品もあります。素材の選択から製造工程、出荷まで徹底した品質管理を行った結果、一部のお店では全国でホッケのお刺身を食べられる商品が販売されました。
ホッケは脂がすごい
北海道で愛されるホッケの魅力は、お手軽さと脂の美味しさにあります。
もしホッケを食べたいと思ったらぜひ羅臼産のホッケの干物を食べてください。口に入れた瞬間、淡白な白身から溢れ出る脂の質、量がまさに段違いです。
他じゃ味わえないホッケを楽しみたいと思った方は是非ホッケの刺身にチャレンジしてみてください。口に入れた瞬間から溶けてなくなるあの感覚は他じゃあ味わえません!