実は9種類もある干物から人気のアジ/イカの干物の作り方をご紹介

以前”干物の上手な焼き方”で説明しましたが、干物にはいろいろ種類あるけど何が違うのか…また、似た言葉で「乾物」や「開き干し」、「丸干し」もあるが作り方はどう違うのか、そもそも何が違うのかについてご紹介いたします。

干物にするメリット

日本で干物が作られ始めたのは奈良時代。宮廷への献上品として納められていた干物ですが、江戸時代には一般庶民に広がりました。市場で採れた魚を干して日持ちさせるとともに、旨味も凝縮され味に深みが出ることから、漁師の副業としても作られ始め、今日まで大きく形を変えることなく食文化として根付きました。

魚は干物にするとなぜ美味しくなるのか

干物が美味しくなる理由には、塩漬けにすることが影響しております。魚を干物にする場合には塩や塩水に漬ける"下処理"を行います。"下処理"を行うことによって水分が抜け、魚肉本来の旨味が凝縮されるのです。

塩漬けにして時間が経つことにより、魚の筋肉細胞内にある「塩溶性タンパク質」が溶解し、再び結びつくために、前の状態よりも弾力のある触感が生まれてくるのです。

さらに、タンパク質の分解酵素による働きがアミノ酸を増やします。アミノ酸が増えることで、旨味成分であるイノシン酸との相乗効果が強くなるために美味しい風味を引き立てます。魚を干すことによっても美味しくなるのです。魚を干すことによって魚の表面に膜がつくられます。この膜が多くの旨味成分を閉じ込めます。

これらの理由により干物は美味しくなるんです。

干物にはどんな種類があるのか

干物

干物と一口に行ってもさまざまな加工方法があります。みなさんが知っているものから聞き慣れないものまであるはずです!

9種類の干物

天日干し/機械干し

干物の種類というよりは、基本となる作業行程のこと。干物は主に太陽の日を使い、食材から水分を飛ばされます。太陽光により食材のアミノ酸が引き出されるので、凝縮された深い旨味を楽しめます。

一夜干し(イカ/キンキ/カレイ)

天日干しに比べて水分が多く残り、日光に当てないため魚の脂が酸化しにくく、生魚に近いやわらかい食感が得られます。熟成した分、生魚よりもグッと旨味が凝縮されます。

また、低温で熟成するため出来上がりが均等なのもメリットです。

素干し(スルメ/ホタルイカ)

風にさらし続けることで、長い日数をかけて水分を取り除きます。塩や調味料を加えず、シンプルに干すという昔ながらの製法で、固めの食感が特徴です。

煮干し(しらす/かたくちいわし/真いわし)

他の干物が乾燥させてから味付けを施すのに対し、煮干しは食材を一度煮て、味をしみ込ませてから干して水分を飛ばします。深く濃い味わいが特徴で、出汁を取るのに適しています。

塩干し(鮭とば/さんま)

食材を一度塩に漬け込んだ後、干して乾燥させます。やり方は2パターンあり、食塩水に漬けてしみ込ませる方法と、手塩にかけてしみ込ませる方法があります。

丸干し(目刺/小アジ/カレイ)

内蔵を取り除かず、そのまま干したもの。内蔵に含まれる栄養素をきちんと摂取することが出来ます。

開き干し(サンマ/サバ/ホッケ)

 内蔵を取り除いてから干したもの。内蔵を全て取り除いているため、血合いなどの味が苦手な方にオススメで、透き通った風味が特徴です。

灰干し(わかめ/真アジ)

紙にくるんだ食材の周りに火山灰を敷き詰め、水分を吸収させることで乾燥させたもの。他の干物よりも比較的長い時間をかけて水分を均一に飛ばすため、食材本来の成分変化を少なく抑えられます。鮮度が落ちず、魚の色味が変わりにくいのが特徴です。

凍干し(スケトウダラ/寒天)

乾物と同じように、何度も凍結を重ねることで乾燥させたもの。真水に数日間漬け込み、十分に水分を吸収させた食材に凍結と解凍を何度も繰り返します。ふっくらとした柔らかい身が特徴です。

ミリン干し(いわし/あじ/さんま)

魚を開き醤油や砂糖、塩などの調味料を加えた味醂の調味料につけてから、天日や機械で乾燥させたものです。別名"桜干し"とも呼ばれています。魚自体に脂がのっていると、甘いみりんの味わいと良く合い絶品。アツアツ御飯にも、酒の肴にもぴったりです。

干物と乾物の違い

野菜や海藻、魚介類などを保存できるように乾燥させた食品を「かんぶつ」と呼びますが、漢字では「乾物」と「干物」の二つ。

「かんぶつ」には、干し椎茸(しいたけ)や切り干し大根、昆布、かつお節などがあります。これらは天然の天日干しや、人工の熱風・冷風を当てることで乾燥させるのです。

乾燥させて水分を抜くことで、雑菌の繁殖を防ぎ、保存期間を延ばすことができます。また、干し椎茸や切り干し大根のように、乾燥させることで栄養価が増す食品もあるんです。

一般的に「かんぶつ」は漢字で「乾物」と書き、乾燥させた食品の総称として使われる。一方、「干物」は「ひもの」と読むことが多く、魚介類を乾燥させたものを指します。

干物の保存方法

干物を保存する場合、冷蔵か冷凍かによって保存方法は少し変わります。

冷蔵する場合

干物を冷蔵保存する場合は、臭いもれ・酸化防止のために1枚ずつラップで包み、密閉できる袋に入れます。袋の空気をよく抜いて、可能なら0℃付近のチルド室で保存しましょう。

冷蔵保存の賞味期限の目安は、約5日間と短いので注意が必要です。5日以上食べないことがわかっている場合は、冷凍した方がよいです。

冷凍する場合

冷凍で干物を保存する場合は、冷蔵と同じく1枚ずつラップで包み、さらにアルミホイルでくるみます。ジップロックなどの密閉できる袋に空気をよく抜いて保存します。

干物の賞味期限

干物といってもイカの干物やアジ、サンマなどいろいろありますが、自分で作成した場合の保存期間は冷蔵で1週間、冷凍で1カ月ほどと考えておいた方が良いかと思います。(意外と短いですね!)また、常温ではほとんど長持ちしませんので必ず冷蔵、冷凍保存してくださいね。

なぜ冷凍と冷蔵でこんなに違いが出るかというと、冷凍は水分を完全に凍らせることによって微生物の繁殖を防ぎます。微生物が繁殖しづらい環境なので日持ちがします。

一方の冷蔵は細菌が繁殖しづらい温度に食材を置くことで、腐敗を遅らせます。鮮度を保てる分、早く食べてしまわなければならないデメリットがあります。

とはいえ、徐々に冷凍焼け(油の酸化)が進んでいきますので、冷凍保存をしておく場合でもできる限り早く食べた方が美味しく食べれます。

ちなみにですが、干物には色々な魚の種類や丸干し、開き、みりん干しなどといったように干し方が異なるのですが、実はどんな種類、どんな干し方でも賞味期限は変わりはないんです!

干物作り方(アジの開き)

 

必要なもの

アジ

  1.  ウロコをしっかりと包丁または、ウロコ取りで取る。
  2. 腹に切れ目を入れ、内臓を取り除き、腹側から包丁を入れ身を開く。
  3. 頭の部分にも、包丁を入れ、身を開いたら、キッチンペーパーや歯ブラシで綺麗に汚れを落とす。
  4. タッパーに水、粗塩、酒、みりんを入れ良く混ぜ、アジを漬け、冷蔵庫で1時間程度ねかします。
  5. 身を上にし、直射日光の当たらない風通しの良い所で干す。(5時間程度)
  6. 表面が乾いたら、出来上がり。

 必ず、新鮮な鯵を使って下さい。(釣ったらすぐに血抜き!これ重要です。)風の無い日は、扇風機を代用しても大丈夫です。脂ののり加減で、漬け時間を1時間半程度にした方が良い時があります。

一夜干しの作り方(イカ一夜干し)


イカの一夜干し   
  1. イカはえんぺらを下にしておく。
  2. 内臓を切らないように気をつけながら背から脚の付け根の部分に向かった包丁の刃をすべらせて切ります。
  3. 内臓、くちばし、ワタ、軟骨を取り除きます。
    (肝/イカワタはホイル焼きや塩辛、醤油漬けなどにするともう一品作れます!)
  4. ボウルに水をはり、イカのぬめりをきれいに洗う。
  5. 大きめのボウルに水1リットル、塩を入れ溶かす。
  6. イカを入れて20分漬けておく。
  7. さっと水洗いをしてキッチンペーパーで拭き取る。
  8. 丸まらないように竹串をさし、ザルやネットに入れ、直射日光の当たらない風通しの良い場所で数時間表面が乾くまで干す。
  9. 夕方干して朝に取り込む程度がおすすめです。(一夜干しですからね!笑)

 干す時間は天候や気温にもよりますが、昼間なら大体4~5時間ぐらい、夜なら一晩干して乾き具合を見て調整して下さい。表面が乾いたら取り込みます。

食べる際にしっかり焼いてしまうと固くぱさついてしまうので、炙るような感じで焼きます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?干物というとめんどくさいイメージがあるかと思いますが、意外と簡単に作れてしまうんです。

魚は食べたいけど平日に魚を捌いて食べるのはめんどくさい。。という方なんかは休日にまとめて作ってしまえば平日でもお手軽に焼き魚を楽しめます。もし「干物を作るのがめんどう。。」と感じる人は、オンラインショップでも売っていますので、購入してみるのも良いと思います!

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